いつもの散歩道に季節の花が咲くと、古い友達に会ったように懐かしい。「今年もまた会えたわね。」
自分のことではないけれど、やっぱり書いておこう。
アデレードの東側にある丘陵地帯を、南北に縦断する「ユレビラ・トレイル」という山道がある。私がよく散歩に行くベレア国立公園もその一部になっている。
先日、「ユラビラ 56キロ ウルトラ・マラソン」というのがあった。山道を56キロも走るなんて狂気の沙汰のように思えるけど、何と400人近い人たちが56キロに挑戦している。
6時間以内で走り終えた人が20人、7時間を切った人が60人、8時間を切った人が100人。最後の人たちは11時間も12時間もかかっているし、途中で諦めた人たちもいる。
我が息子がこのマラソンに出ると知った時は、どうか怪我をしたり心臓麻痺を起こしたりしないで無事に終わってくれることだけを願っていた。結果は7時間を切ったとのことで、大したものだと脱帽する。
終わってしまえば親バカの心配はどこへやら、春爛漫の山道を走るのは気持ち良かっただろうなー、と。
夕方、いつものようにベレア国立公園を歩いていて、また新しい花を見つけた。すーっと細長い茎のてっぺんに、ポンポンのような黄色い花。とっさに思い出したのは『星の王子さま』の挿絵。
家に帰って本を開いて確かめると、ちょっと違っていた。それよりもその後で見た、満月の予告だったのかもしれない、と今思う。
歩いていると、パッと目に飛び込んでくる鮮やかな赤。地を這って伸びている茎。3枚ずつの葉っぱ。
オーストラリア原産で、属名はランニング・ポストマン(Running Postman)、オーストラリアでも郵便ポストは赤い。
季節の花に初めて出会うのは、初物を食べる時のような嬉しさがある。
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ちょっと早起きしてカスタードクリームを作る。タルト生地を作って伸ばしてきっちり型に入れる。
焼けたら型から出して、カスタードクリームの上にラズベリー、ブルーベリー、パパイアを飾って、粉砂糖を振りかけ、生クリームをひと匙。
まもなく玄関のベルが鳴る。ダリルさんと助手のラーラさんがペンキ塗りに来てくれるのに間に合った。仕事に取り掛かる前にコーヒーを一杯どうぞ。