冬至の三日後。いちど家に帰った生徒達は、5時過ぎに父兄と一緒にまた学校にやって来た。暖かい服を着て毛糸の帽子をかぶって皆なんだか嬉しそうだ。鐘を合図に、生徒と教師と父母達はクラスごとに肩を寄せ合うようにして芝生の運動場に集まった。
真ん中に据えられた大きな提灯の灯りを背景に、アボリジニの踊りが始まる。ディジリドゥーの力強い演奏が波のうねりのように大地に広がり、かけ声のような言葉が空に響き渡る・・・・素朴な踊りを見ながら、この空もこの大地も太古の昔からずっとここにあったのだということを思う。高校生の「母なる大地」の合唱も綺麗だった。大地の中に命とエネルギーが蓄えられる冬。
生徒達自作のそれぞれの提灯に火が灯ると、華やいだ暖かい雰囲気が醸し出される。それでも誰もがお喋りを慎んでいる。静寂と寒さと闇と灯りの魔法。良く見えないから目を凝らす。耳を澄ます。闇の中で自分の灯りを抱いて、孤立感と連帯感を同時に感じる。田舎の闇は、その質も量も半端じゃないから素敵だ。