「コアラの赤ちゃんが生まれたよ。見においで。」というお誘いがあった。マリヨレーンとハワードの家の裏庭を出ると、ユーカリの林がずうっと続いている。鳥の声を聞きながらコアラを探す。「あ、あそこに」「見て、あの木の上にも」と、たいていハワードが見つけて教えてくれる。ハワードはコアラ探しの名人だ。教えられてもどこにいるのかすぐには分からない。双眼鏡を使ったりカメラのズームを使ったりして確かめる。One, Two, Three…. と数えながら、ゆっくり3キロぐらい歩いただろうか。45まで数えたところでマリヨレーンはお昼ご飯の支度をするために引っ返して行った。ハワードと私は更に歩いて53まで数えた。同じコアラを違った角度から見て数に入れたりしないように、帰り道では数えないというルールだ。
これ以上は望めないほど良いお天気。
「ほら、向こうに見える右側の木の半ばあたり・・・背中を向けて座っているでしょう。」
「こんにちは。良いお天気ね!」
「あ、赤ちゃんを抱いている。濃い毛の色の赤ちゃんが見える?赤ちゃんの足がお母さんのお腹に抱きついているでしょ。」
「あ、あそこにも赤ちゃんを抱いたコアラが。」