「私の部屋」を何と呼ぼう。あれこれ頭をひねってみても良い名前が思い浮かばない。信頼できる友人に助けを求めると、「無為庵」という名前を提案して下さった。「無為にして化す」の「無為」だそうだ。「半ば冗談のように思って」と言われるけれど、私は「無為庵」という名前がとっても気に入っている。
「無為」、何もしない。何もしないでノンビリする部屋。その為に作った部屋。(何もしないで私は私のままで良いのだ、なんて勝手に解釈したりもしている。)
扁額というものを掲げようかしらと思った。誰か上手な人に書いて貰うより「緑さん本人の下手な字で良いんじゃないの」と妹が言う。それでは、と手頃な木片に墨で「無為庵」と書いてみる。しかし下手な字を掲げる勇気が無いので、棚の上に飾って赤鬼君と青鬼君に守って貰っている。
せめて記念写真を撮ろうとしてカメラを向けると・・・あれ、あれっ! いつもは両側に立っている赤鬼君と青鬼君が、さっと動いて扁額の前に立ち塞がった。そして黙って頑として動こうとしない。そうか、やっぱりね・・・もう少しマシなのをまた書いてみるわね。