この本の中に、「僕にとってはエッセイというものは、あえて言うならビール会社が出している缶入りウーロン茶みたいなもので、いわば副業です。」「本当においしそうなネタは次の小説=正業のためにとっておくようにします。」と書いてあって、ちょっと意外だった。ふうん、小説とエッセイでは力の入れ方が違うのか。でも私はエッセイが好きだ。
『遠い太鼓』や『走ることについて語る時に僕の語ること』や『やがて哀しき外国語』や『村上ラヂオ』などを読んだけど、この『職業としての小説家』は特に面白かった。村上春樹の考え方や生き方が興味深い。
デビュー作の『風の歌を聴け』がいつどんなふうにして書かれたかを知って、さっそく読み返している。この小説は「副業」として書かれたのかな? だってその頃はまだ、お店の経営が「正業」だったのだから。