帰って来た卒業生・続き

On 2011/02/25, in 学校, by evermidori
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アンナは、二年生と幼稚園児を学校に通わせ、自分はプレイグループ(幼稚園に入る前に行く)の先生をしている。心理学を勉強してカウンセラーとして働いていたのに、何を思ったのかシュタイナーの神学を学ぶ為にドイツに渡った。そこで知り合った人と結婚して子供を産んだけど、うまく行かなかった。こんな純真な女性を不幸にするなんて、しかも牧師だなんて。私が学校で教え始めた時、アンナは5年生だった。誕生日に描いてくれたパステル画を今も大事にしている。

エミリーも、何でも良く出来る生徒だった。世界旅行や勉強の合間にひょっこり帰って来ては、バイオリンを教えたり、学習困難児の世話をしたり、ペンキ塗りをしたりして旅行のお金を稼いでいる。農場を経営したいとか、やっぱり音楽をやりたいとか言っているけれど、最終的に何をしたいのか決まらないらしい。高校生の時に他の生徒と組んで結婚式等で弦楽四重奏のアルバイトをしていたので、息子の結婚式でも演奏してもらった。12年生の日本語が定着したのはエミリーのクラスからだった。

職場で昔の生徒達の顔を見ることが出来るのは本当に嬉しい。どの生徒も優秀で素敵で惚れ惚れする。

アンナ

エミリー

 

帰って来た卒業生

On 2011/02/24, in 学校, by evermidori
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卒業生が(先生として、または父母として)学校に帰って来てくれることほど嬉しいことは無い。帰って来るということは、自分の受けた教育が良かったと思っているからだ。この学校が好きだからだ。

そうだ、これからは、帰って来た生徒達が学校を守っていくに違いない。そんなことを考えて何だか幸せな気持ち。今教えている生徒たちの一人でも二人でも、またいつか帰って来てくれたらいいなあ・・・。

ソンニャは、もう長い間バイオリンを教えている。授業や劇などにも関わって既に大きな存在だけど、来年からは正規の音楽の先生として働く予定。実は息子が高校生の頃、大学生のソンニャにバイオリンを習っていたことがある。20年以上経った今、孫の李駿がソンニャにバイオリンを習っている。そして私はソンニャの息子のフィンに日本語を教えている。李駿とフィンは同じクラスで仲良しだ。

エリースは、小学校の時から茶目っ気のある活発な女の子だった。高校では日本語を選択した優秀な生徒の一人。卒業を前にエリースは親友を、私は大事な生徒を交通事故で失った。旅行をしたり水泳のコーチをしたり大学生のユニオンで働いたりしながら教職過程を終えると、スポーツの先生として学校に帰って来た。この5年間、エリースは文句無しに素晴しい同僚だ。先日はエリースの妹のミアが可愛い赤ちゃんを抱いて現れた。

ラファエラは、この二月に美術の先生として帰って来た。建築を2年間勉強した後、諦めきれずに美術を専攻した。三人姉妹の末っ子で、弟がいる。四人とも1年生から12年生まで日本語を教えたから、ラファエラの家族との付き合いは長い。「絵を描きたくなったら、いつでも美術室に来てね」と言ってくれる。

ソンニャ

エリース

ラファエラ

 

セーラの鍵

On 2011/02/23, in 映画, by evermidori
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エッフェルタワー近くの公園の中に記念碑があって、こう書いてあるそうだ。

「1942年7月16、17日、パリとその郊外に住むユダヤ人13152人が逮捕され、アウシュビッツに送られた。ナチ占領軍の命令を受けた仏ヴィッシー政権によって、4115人の子供、2916人の女性、1129人の男性が、ここに建っていた冬の自転車競技場に非人間的な状態で収容されていた」

両親と共に逮捕されたユダヤ人の少女セーラは、収容所を脱出していた。ある女性ジャーナリストが、セーラがどうなったか知りたいと思って調査を始める。脱出後のセーラの物語と、セーラを追っていくジャーナリスト自身の物語とが交互に語られ、交叉する。二人の女性の思い掛けない「繋がり」が興味深いし、映画はとても良かった。タチアナ・ドゥ・ロズネーが書いた「セーラの鍵(彼女の名はセーラ)」を読んでみたい。

学校からの帰り、高速道路を降りて家とは反対の方へ曲がってしまって、気が付くと映画館へ向かっていた。「6時半からの映画に間に合う!」と、無意識のうちに思ったらしい。無意識に思ったことは正しかった。



 

話し合い

On 2011/02/18, in 学校, by evermidori
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話し合い、話し合い、話し合い、話し合い
ワークショップ、ブレインストーム
プレゼンテーション、ディスカッション
昨日も、今日も、明日も、明後日も
どう思うか、どうしたいか、どうあるべきか、どうしようか
二人ずつで、グループで、もいちど皆で輪になって
顔を合わせて、膝を交えて、スクラム組んで
休んで、飲んで、食べて、歌って
気持を、考えを、案を、計画を
出して、纏めて、書いて、張り出して
話し合い、話し合い、また話し合い、話し合い
上も下も、右も左も、皆仲良く力を合わせ
アブラカダブラー、チチンプイプイ、右向け〜右
素晴しい学校になりますように
生徒の数も増えますように
南無阿弥陀仏、アーメン・・・


 

プラム

On 2011/02/13, in 食べ物, by evermidori
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この時期は、いろいろな種類のプラムが出回っている。手前から左へ、アンジェリーナ、グリーンゲイジ、サツマ、ブラックダイアモンド、(ネクタリン)、シュガープラム。一番好きなのはグリーンゲイジ。

並べてタルトを焼いたら好評だった。夏だけのプラム・タルト。4人ですっかり食べてしまった。

 

City Island

On 2011/02/13, in 映画, by evermidori
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友達のGさんが「面白いよ」と言ってDVDのコピーを持ってきてくれた。たいていのコメディーは(可笑しく無くて)笑えないけど、こ の映画は気持良く笑えて泣けて温かい気持になった。笑うのは心の薬になる。

ニューヨークの外れのシティー・アイランドで、イタリア系 の家族が、皆それぞれ何かしら秘密を持っていて、ぎくしゃくしながら荒れた毎日を送っている。でもそんな秘密はバレてしまえば取 るに足りない何でもないものになる。家族の絆は強い。当たり前のことだけど、コメディアン達(家族のメンバー)が、大真面目なのが可笑しい。大真面目の演技が上 手い。

 

Rubi

On 2011/02/12, in 食べ物, by evermidori
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土曜日の朝は迷わずセントラル・マーケットに行く。8時前だったら家から10分ちょっとで行ける。いろいろな食べ物を見て回るのは時間を忘れるほど楽しい。セントラル・マーケットが無かったら、アデレードに住む価値は半減すると思う。

今日は「スメリー・チーズ」という店で、直径3センチほどの可愛い円筒形のチーズに惹き付けられた。少しだけ熟成させた山羊のチーズに、ビオラの花びらやハーブ(ローズマリーやタイム)がくっ付けて飾ってあって「ルビー」という名前。何て綺麗!暫く眺めていて、やっぱり買ってしまった。「ウッドサイド」というアデレード丘陵地帯の小さな町で出来たもの。パンに載せると紫や緑の色が鮮やかで美味しかった。でも残念なことに、ハーブの香りが山羊のチーズの香りと競争して勝ってしまった。

 

潮干狩り

On 2011/02/07, in その他, by evermidori
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昔、ツイストというダンスがあった。膝ぐらいの深さの所でツイストみたいなことをやって砂を探っていると、足の裏に貝がカチッと当たる。当たったら絶対に動かないで踏みとどまる!ザブーン!ザーッ!と波が引くまで待って、次の波が来る前に素早く足の下から取り出してビニール袋に入れる。波の引く勢いで足の下の砂が掘られ、貝がさらわれると悔しい。何度か波のタイミングを外して全身ずぶ濡れになったけれど、30分もすると1キロぐらいのアサリ貝が採れた!ワイン蒸しにして、刻んだコリアンダーをいっぱい散らして、美味しいのなんのって!(アデレードから南へ100キロぐらいの、グールワという海岸で)


 

Another Year

On 2011/02/05, in 映画, by evermidori
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マイク・リー監督。物語も筋も無い、中年を過ぎたカップルの日常を淡々と描いただけの 静かな映画。トムとジェリにはそれぞれの仕事 (地質学者とカウンセラー)があり、一緒に食べて一緒に寝て、週 末には野菜作りを楽しんで、時々子供達や友達が訪ねて来る。ごく普 通に暮らす幸せ。幸運な人達の幸せ。幸せな人達の表情は穏や かで美しい。

幸せなトムとジェリの周りには、幸せで無い人達がいる。カウンセ リングを受けに来る人達、いつまでも相手が見つからない女性、食べ てばかりいる肥った男性、連れ合いを亡くした老人・・・・不幸せ な人達は何故かいつも独りだ。それにしても、独りの人達があまりにも寂しく惨め に描かれているのが気になる。逆はどうだろう。独りの人は必ず不 幸せだろうか?結婚している人は必ず幸せだろうか? 映画は一部の 真実を伝えているだけ。しかしこの真実は確かに大きい。