若い(12才〜20才)エリートたちのコンサートを聴きに行った。13才の孫が「アデレード・ユース・シンフォニア」で第一バイオリンを弾いている。はい、バババカです。
世界で活躍しているという指揮者は、音楽家の卵たちが可愛くて仕方無いというふうに見えた。若い人たちの成長に係わる楽しさに共通するものがあっても、音感の無い生徒にも音楽を教え、学習困難な生徒にも数学や理科や語学を教える学校教師の喜び(苦しみ)とは、ちょっと違うかもしれない。
若い(12才〜20才)エリートたちのコンサートを聴きに行った。13才の孫が「アデレード・ユース・シンフォニア」で第一バイオリンを弾いている。はい、バババカです。
世界で活躍しているという指揮者は、音楽家の卵たちが可愛くて仕方無いというふうに見えた。若い人たちの成長に係わる楽しさに共通するものがあっても、音感の無い生徒にも音楽を教え、学習困難な生徒にも数学や理科や語学を教える学校教師の喜び(苦しみ)とは、ちょっと違うかもしれない。
どうして皆がそんなに誉めるのか、わからない。日本語だから台詞の間違いがバレなかったからか、「花さき山」のお話が心を打つ内容だったからか、日本的なもの(着物、背景、低いテーブル、座布団、紙風船、篠笛の演奏など)が、それだけで充分に良かったのか。
私は口もききたくないほどがっかりしたけれど、あんまり誉められるので、「もう済んだことだし、いいや、良かったことにしておこう」と思っている。出演した生徒達は「ああ、楽しかった!」と言っている。それがいちばん良かったことかもしれない。
手巻き寿司で「打ち上げ」をした。台詞を間違えたことなんかケロッと忘れて、皆たくさん食べた。
3週間ぐらい前から準備が始まる。生徒たちは冬の歌や詩を習い、厚紙や木やガラスやブリキで提灯を作る。ローソク作りもある。日本語の授業では「ゆきやこんこ」を歌ったり「傘地蔵」のお話をしたり「冬」という字をお習字したりする。しだいに学校じゅうにお祭を待つ雰囲気が満ちてくる。
「冬祭り」の日、小学校は午前中で終わり、生徒たちが帰った後のグラウンドに小枝で渦巻きが作られる。夕方、生徒達は父母と一緒にまた学校にやってくる。ホールでの夜の集会は暖かい雰囲気だ。冬の歌、ピアノとバイオリンとチェロの演奏に合わせてのユリズミー、「わがままな巨人」のお話など。プロの語り手のお話は大人たちの心にも沁み込んでいく。
それから提灯に灯を点けてもらって、震えるほど寒い真っ暗な校庭に出る。渦巻きに沿って歩く沢山の小さな灯りが、ゆらゆら揺れて綺麗だ。ひとつひとつの灯りは一人一人の子供の命のようだ。
最後に、5メートルほどの高さの「8年生の作品」に火がつけられた。火が回るにつれ真っ暗な空間に、向き合って話している二人の姿が大きく明るく浮かび上がった。みんな無言で・・・・二人の会話に耳を澄ませた。
イランの映画「別離」がとても良かったので、同じ監督(アスガル・ファルハーディー)の最近作「ある過去の行方」が来るのを待っていた。どうやら見過ごしてしまったたらしい。
それで友人が、その友人にコピーしてもらったものをコピーしてくれた。同じ監督のちょっと古い映画「彼女が消えた浜辺」のコピーも「別離」のコピーも一緒に貰った。DVDを見始めると「コピーは禁じられています」という画面が最初に出てくる。
3本とも、どうしようもない運命とどうしようも無く行き詰まった人間関係が描かれている。男と女の、親と子の、友人同士の、葛藤や誤解やすれ違い。誰にも悪意は無いのにそれぞれが苦しみや苛立や切なさや怒りを抱えて傷付いている。気持がひしひしと伝わってくる。お芝居だと分かっていても巻き込まれてしまうのは何故だろう。演技が抜群にうまいし、イランの女優さんたちが実に美しい。
3本の中では、やっぱり「別離」が一番良い。