先日、織物をやっているイングリッドさんが、額に入った二枚の絵を大事そうに持って来て、何が書いてあるのか字を読んで欲しいと言う。「この織物は絹よ。素晴しく織ってあるわ。綺麗だわ!織物はガラスの額に入れてはダメなのに。」などと、嬉しそうだ。パースの骨董屋で330ドルずつ660ドルで買ったとか。歌麿の「油屋 お染の相」と「当時全盛美人揃 玉屋小紫」と書いてある。
ネットで調べると、「織物カレンダー」というのを売っている会社がある。北斎や歌麿や干支の動物などの絵が織ってあってカレンダーがその下に付いている。「外国人へのお土産やプレゼントにもぴったり」「使い終わったらカレンダーの数字の部分を切り取って、絵を額に入れて飾ってください」と書いてある。素材はレーヨンでお値段は1800円(20ドル!)だ。ははあ、どうやらこの額に入った美人画は、使い終わった「織物カレンダー」のようだ。どうしよう?あまり本当のことを言っては可哀相だと思って、結局「お染久松」の話などをして別れた。(だいぶ前に北京やクアラルンプルの骨董屋で買った絵や壷のことを思い出した。その時は分からなかったけど、あれも外国人向けの「織物カレンダー」の類いだったに違いない。)