織物カレンダー

On 2010/11/28, in その他, by evermidori
0

先日、織物をやっているイングリッドさんが、額に入った二枚の絵を大事そうに持って来て、何が書いてあるのか字を読んで欲しいと言う。「この織物は絹よ。素晴しく織ってあるわ。綺麗だわ!織物はガラスの額に入れてはダメなのに。」などと、嬉しそうだ。パースの骨董屋で330ドルずつ660ドルで買ったとか。歌麿の「油屋 お染の相」と「当時全盛美人揃 玉屋小紫」と書いてある。

ネットで調べると、「織物カレンダー」というのを売っている会社がある。北斎や歌麿や干支の動物などの絵が織ってあってカレンダーがその下に付いている。「外国人へのお土産やプレゼントにもぴったり」「使い終わったらカレンダーの数字の部分を切り取って、絵を額に入れて飾ってください」と書いてある。素材はレーヨンでお値段は1800円(20ドル!)だ。ははあ、どうやらこの額に入った美人画は、使い終わった「織物カレンダー」のようだ。どうしよう?あまり本当のことを言っては可哀相だと思って、結局「お染久松」の話などをして別れた。(だいぶ前に北京やクアラルンプルの骨董屋で買った絵や壷のことを思い出した。その時は分からなかったけど、あれも外国人向けの「織物カレンダー」の類いだったに違いない。)

 

プリマ・ドンナ 対 モナリザ

On 2010/11/27, in 食べ物, by evermidori
0

アデレードで一番好きな場所は、断然セントラルマーケットだ。こんな楽しい場所は他に無い。野菜、果物、肉、魚、チーズ、パン、ソーセージ、オリーブ、ナッツ、お茶、コーヒー、ケーキ・・・あらゆる食べ物が揃っていて、種類が豊富で新鮮で綺麗で美味しそう!季節のものや珍しいものを見て回わるだけでもワクワクする。時間を忘れて2時間位があっという間に過ぎてしまう。家に帰る頃にはお腹が空いて、買ってきたものをお皿に並べてブランチを食べる。至福の時。

今日のハイライトは、オランダの二種類のグーダ・チーズ。少しだけ熟している「プリマ・ドンナ」はクリーム色。時間をかけてしっかり熟成した「モナリザ」は琥珀色に近い。コーヒーをいれてパンを切って、さあ、食べ比べてみよう。う〜ん、う〜ん!若い方のプリ・マドンナは、香りも味も口の中に広がるのが早く、ちょっと独特な刺激がある。モナリザは、深く濃い味がゆっくりと広がる。どちらも滑らかで美味しい。どちらも好きだ。パンと一緒ならプリ・マドンナで、そのまま食べるならモナリザかなあ。

 

アーチ

On 2010/11/26, in その他, by evermidori
0

高速を途中で降りてこのアーチを通って行くと通勤時間が8分位長くなる。晴れた日も雨の日も春も秋も冬も、それぞれに素敵だ。車が少ない朝の方が気持が良いけれど、もう少し先の方に喫茶店や小さい美術館もあるので、帰りにも時々寄り道をする。

私の家にも小さいアーチがある。今はまだ悠々と車が入るけど、もう少しして林檎が大きくなるにつれてアーチが低くなると、林檎をもぎながらアーチの高さ低さを調節する。コツン、コツンと車の屋根に林檎が当たってやっと通れるくらいに保つのが好きだ。しかし林檎が甘くなると、屋根裏に住んでいるポッサムが夜中に片っ端から齧るので、調節は私の思うようにはいかなくなってしまう・・・。


 

べっかんこ鬼

On 2010/11/17, in 学校, by evermidori
0

さねとうあきらの「べっかんこ鬼」を、すっかり書き直した。11年生に覚えられる程度の日本語にして、劇を観る小学生にも分かる言葉を沢山入れて、重たいテーマには目をつぶって、25分のハッピーエンドの劇にした。「ゆき」が口ずさむのは五木の子守唄、「竹」が歌うのは風の又三郎の歌、衣装や小道具や照明なども生徒達と相談しながら劇を作り上げて行く過程は本当に楽しかった。演技を指導するのは特に面白かった。「こんな風に宙を見て」「こんな風に食べて」「こんな風に竹を揺らして」「こんなふうに歌って」「こんな風に重箱を開けて」etc. etc. etc.

4年生の子供達三人が、ゆきをいじめる最初の場面に参加してくれ、プロみたいに上手な12年生がナレーターをやってくれた。生徒達がなかなかセリフを覚えてくれなくても、(過去6回の経験から)本番では必ず出来ると信じて焦らなかった。本番は予想以上の熱演で、ほぼイメージ通りに出来た!

こういう楽しいことがあるから、なかなか仕事が止められない。生徒達が可愛くて。

意地悪な村の子供達 (手に持っているのは蛇)

「お母さんに会いたい。お墓に連れて行って・・・」

“It is believed that a number of Oni, a kind of ogre,
are living in the deep mountains of Japan”
「ざわざわざわ。どうなるかなあ、しんぱいだあ。」
「どっどど、どどうど、どどうど、どう!・・・」

「ゆきは目がみえない!」「可哀相だ、不公平だ。」

「ゆきが好きだ!」
「きゃーっ! 助けてえ!」


「ゆきに綺麗なものを全部見せたい。」
「あなたの気持はわかります。でも、それは出来ません。」

「鬼め。とうとう見つけた!覚悟!」

「これは何!・・・光?」

「見える、見える、べっかんこ鬼、あなたが見える!」
 

桑の実

On 2010/11/14, in , by evermidori
0

傘の形に枝を広げた桑の木。小さな実が次々に熟れてはポロポロと落ちている。鳥達は傘の中に入ったり出たりして楽しんでいる。今日は私も500グラムぐらいを摘んでジャムを作った。忙しい時に限ってこんなことをしたくなる。



 

卒業プロジェクト(4)

On 2010/11/13, in 学校, by evermidori
0

今日の12年生の発表で印象に残ったのは、レオノーラの “Positive ageing and the story lines of life “ というプロジェクト。祖父母が自分にとってどんなに大切な存在であるかを話し、一年間いろいろなお年寄りとお付き合いをした経験を通して考えたり調査したりしたことを発表した。老人クラブに通って仲良くなった人達の写真やスケッチも沢山あった。4年生と老人達とが一緒に遊ぶ会を企画したら、双方から「とても楽しかった」というコメントが沢山あったそうだ。

「前向きに生きている老人達は賢くて面白くて素敵だ。」「顔の皺には人生の物語が刻まれている。」「年をとった人達の話をもっと聴きたい、学びたい。」「え、70才!もっと若く見えますよ!というのは、褒め言葉というより年齢差別だ。」等々。

ふうん、美しくエネルギーに満ちた18才が、そんなことを考えているのか。発表を聴いたりスケッチを眺めたりしていると、老いていくのがもそれほど惨めでも無いような気がしてきたから不思議。しかし、レオノーラの期待を裏切らないような老人になるのは難しい・・・。


 

Wings of Desire

On 2010/11/11, in 映画, by evermidori
0

池田香代子さんのブログから:

1989年のきょう、11月9日は、ベルリンの壁がなくなった日です。そのベルリンの壁が重要な意味をもつヴェム・ヴェンダースの映画「ベルリン・天使の詩」は、壁崩壊の2年前に公開されました。

「この映画を観てみたいな。」
「通信簿書きが終わってからね。今は、ダメ、ダメ、ダメよ!」

「分かっている。」

でも、ゆうべ観てしまった。まったくもう、意志が弱いんだから。

黒いオーバーコートを着た中年の男性が「天使」だというのが面白い。天使の名前はダミエルで、親友の天使はカシエルという。天使だけあって優しい顔をしているし、二人ともカッコいい。ベルリンの町の中に降りて来て、人々の「心の中の声」を聴いたり書き留めたりしている。「心の中の声」は囁きのように聞こえ、いくつかの囁きが重なり合ったりする。天使の姿は大人には見えないけれど、子供には時々見えるらしい。ダミエルが朗読する詩も素敵だ。ゆっくりした静かな映画で、モノクロの画面が時々カラーになる。シーンの至る所にベルリンの壁があるのが異様だ。壁の落書きには何が書いてあるのだろう。立派なベルリン図書館の中の雰囲気が良い。静かに本を読んでいる人達の「声」も聞こえる。

さて、天使のダミエルは、サーカスのブランコ乗りのマリオンの心に耳を澄ませているうちに、彼女に恋をしてしまう。そして恋を成就させる為に人間になる決心をする。永遠の命を持つ天使を止める(死ぬ)のだから、まさに命がけの恋だ。

命に限りこそあるけれど、人間であることもなかなか悪く無い。悪く無いどころか素晴しいのだ。天使の世界は白黒だけど、人間の世界には綺麗な色がいっぱいだ。天使は何も食べないけれど、人間は美味しいものを楽しめる。人間になったダミエルはとても生き生きしていて幸せそうだ。

人間になることを選んだ「もと天使」は、ダミエルだけじゃなく他にも沢山いるみたい。その後(他の映画で)親友のカシエルも人間になったとか。何を隠そう、実は私も・・・人間が天使になり、天使が人間になる。人間になった天使はまた天使になるのかな?白黒とカラー、天使と人間、ベルリンンの壁の向こう側とこっち側。続いているみたいだけど、その境には「死」がある。壁は死?強く望むことが鍵なのかな?


原題の “Der Himmel Berlin (ベルリンの空)”よりも “Wings of Desire” のほうがよく分かる。日本語題の「ベルリン・天使の詩」も良いと思う。

 

蝋細工のお寿司

On 2010/11/02, in 学校, by evermidori
0

数年前、Kさんが合羽橋道具街に連れて行って下さった時に、冗談みたいな気持で蝋細工のお寿司をいくつか買った。ところが、本物のように見えるこのお寿司は予想以上に生徒達に人気があって、今ではもう無くてはならない教材になっている。

7年生と8年生の生徒達は、次のような文章を読んで暗記しなければならない。そしてこの蝋細工のお寿司と、団扇、巻きす、黒い紙とティッシュペーパー、それに色鉛筆を使って、身振り手振りと笑顔で、巻き寿司の作り方を説明しなければならない。

「すしは にほんの たべものです。いろいろなすしが あります。(ひとつひとつ取り上げて)たとえば、まきずし、いなりずし、にぎりずし・・・。まきずしを つくりましょう。す、さとう、しおを まぜて ごはんに いれます。(団扇を動かして)うちわでパタパタパタ!(巻きす、黒い紙、ティッシュの順に置きながら)まきすの うえに のり、のりの うえに ごはん、ごはんの うえに すきなもの。(色鉛筆を一本ずつ置きながら)たとえば さかな、きゅうり、たまごやき、アヴォカド。(巻く真似をして)巻きすといっしょに まきます。(切って出すしぐさ)きります。だします。いただきます。(食べる真似をして)う〜ん、おいしい! ごちそうさま。」

単語を習い、文章を暗記して、最後には本当の巻き寿司と稲荷寿司を作って食べて、生徒達は大喜び。私は喜んでいる生徒達を見て大満足。